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コラム

第八十八回 「お酒と税金」を考える
相談役 最上 恒夫
 最近の「税」に関する国民の関心の高まりは、正直驚くほどである。これには昨年4月、17年ぶりに実施された消費税率引き上げ時の駆け込み需要騒動に加え、本年10月に予定された再増税が景気の失速を懸念して1年半延期されるという一連の動きが理由の1つであろう。
 消費税ばかりでない。本年1月1日、相続税法が改正され、現行税制ができてから初めて非課税枠が縮小(増税)されたが、これは半世紀に一度の大改正とも言われる。さらに社会保障・税制度の効率性、透明性を高め、公平・公正な社会を実現することを目的として、来年1月からスタートする「マイナンバー制度」の導入など、税をめぐる話題は目白押しである。その背景として、高齢化による社会保障費の増加で先進国最悪となった財政赤字の深刻さが漸く国民に浸透し、経済再生と財政再建の両立に、社会保障制度の見直しや税制の改革が不可避であることが広く理解されてきたことが挙げられよう。
 いま最も議論を呼んでいるのが、低所得者に対する消費税負担軽減策をどうするか、例えば食料品などの生活必需品に対する軽減税率(複数税率)制度の導入などが平成29年4月の再増税時を目指して検討されている。しかし、これには対象品目の線引きの難しさ、税収減分の代替財源の確保、事業者の事務負担増、とくに経理の方法や販売現場の混乱を懸念する声も根強い。一部には極力生鮮食料品などに絞るべきとか、飲食料品の中でも「酒と外食」を除くべきとか様々な意見がある。財政健全化には将来、欧州各国並みの20%台までの消費税が必要との声もあり、税改革論議は暫く続きそうである。

 さて、お酒に課される税金は、「酒税」という個別間接税と「消費税」というすべての商品サービスに課される間接税の2つからなり、それら合計額を一般に「酒税等」、小売価格に対するその割合を「酒税等負担率」と呼んでいる。平成元年の消費税創設時、物品税や入場税などの間接税が廃止された際にも、酒税は重要財源であることから一部調整されながらも存続し、酒税と消費税の2つの間接税が併用されて現在に至っている。
 平成26年3月刊行「酒のしおり」(国税庁課税部酒税課)による主要酒類の酒税等負担率表の一部を示せば以下のようになる。ただしこの算定ベース「代表的な小売価格」は平成25年12月現在の国税庁調べによるもので、したがって当時の消費税率5%を現行の8%に引き直して試算した数字であることをご承知願いたい。
清酒(1.8ℓ、15度)        18.1%
焼酎甲類・連続式蒸留(1.8ℓ、25度)37.8%
焼酎乙類・単式蒸留(1.8ℓ、25度) 31.8%
ビール大瓶(633㎖、5度)     46.6%
ビール(350㎖、5度)       42.2%
ウイスキー(700㎖、43度)     24.0%
発泡酒麦芽25%(350㎖、5.5度)  36.1%
新ジャンル・発泡性(350㎖、5度) 27.0%

 これをみると、酒類により酒税等の負担割合に大きな差があることが分かる。お酒は重要な財政(担税)物資で、また致酔性飲料としての特性を有していることから総じて高税率が課されてきた特殊商品と言える。酒税の課税方法には、お酒のアルコール度数に応じて課税する「アルコール度数課税制度」があり、これはお酒の種類に関係なく度数に応じて税負担が変わる方式である。日本の酒税制度はこれと違って、お酒を清酒やビールなど各酒類ごとに基本税率を定める「分類差等課税制度」を採用している。そこで同一アルコール度数でも、その酒がどの区分に入るかで税負担が大きく変わってくる。
 一覧して分かるように、ビールの税率の高さが際立って高く、そのため業界団体が長年にわたって大幅減税を要望し続けていることはご承知の通り。平成6年頃からビール類似の発泡酒が売り出され、その後も新ジャンルと称する発泡性リキュールなどビール味と遜色ない低価格商品が開発されたのも、酒税法に定める原料や製造法の違いによる税率の差を狙った知恵によるものである。
 過去の負担率、例えば昭和45年度と比較すると、清酒35.3%、焼酎甲類19.9%、乙類12.2%、ウイスキー46.2%など、ビール以外では大きく変わっている。これは消費需要の変化を反映したものだが、ウイスキーのようにイギリスからの強い輸入差別批判に対し、消費税導入時に清酒とともに級別制度廃止や税率引き下げがあったことも要因にあげられる。始めに軽減税率のところで述べたように、酒税や消費税のような一律に課せられる間接税には、低所得者の負担が重くなりがちな逆進性の問題があり、したがって高級酒には高い税負担を、大衆酒には低い税負担を課し、調整してきた歴史がある。しかし例えばビールはかつて家庭より料飲店などでの消費が大半だったため、富裕層のお酒として高税率が課されてきたが、現状はその根拠が疑わしい。
 現行の酒税法が制定されたのが昭和28年2月。その後、平成元年の消費税導入時に前述の大幅改正が実施され、さらに平成18年5月、懸案であった酒類の分類簡素化と適用税率の合理性を求める声に応え、従来の10種類11品目を4種類(発泡性、醸造、蒸留、混成)に集約、各種類間の税率を見直す画期的な税制改正が行われ現在に至っている。酒税体系の骨格がしっかり整い、いよいよこれからというときだったが、長いデフレ不況と財政悪化の下では酒税見直しはならなかった。今回の消費再増税に合わせた酒税負坦のさらなる合理性を目指す動きに、業界や消費者の関心と期待が高まっている。
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