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コラム

第九十五回 EA189型TDI
代表取締役社長 山口 哲行
▼米環境保護局(EPA)は9月18日、フォルクスワーゲンと傘下のアウディの一部ディーゼルエンジン搭載車が、排ガス規制に関する試験をクリアするために違法ソフトウエアを用いていたと発表した。不正があったとされたのが、フォルクスワーゲンと傘下のアウディの直列4気筒ターボディーゼル「EA189」エンジン。米国におけるリコール対象車は、2009年以降2015年までに販売された「ゴルフ」「ビートル」「パサート」「ジェッタ」に、グループ傘下のアウディ「A3」を加えたディーゼル5車種だ。

▼ディーゼルエンジンはもともと熱効率が良く、燃費のよさや、二酸化炭素(CO2)排出量が少ないという点で、優れた環境性能をもっていて、ヨーロッパでは人気だ。一方NOx(窒素酸化物)が発生しやすいという弱点を持つ。NOxは、大気中の濃度や気候によって人体に有害な光化学スモッグを起こす。ディーゼルエンジンはガソリンエンジンよりも高圧縮状態で、軽油と空気の混合気を自然発火させて燃焼させる。圧縮率が高いので燃焼室は高温、高圧になるため軽油と空気が十分に混ざる前に着火しやすく、これがNOxを増やす原因となる。NOxの発生と燃費は相反する。NOx発生を抑えるためには低温・低圧な状態で混合気を濃くして(軽油をたくさん燃やして)燃焼させることが必要だが、これだと燃費が悪くなってしまう。

▼そこで、今回の違法ソフトの登場。走行状態から検査中と判断すると、混合気を濃くしてNOxの発生を抑える。一方検査じゃないと判断すれば、混合気を薄くして燃費を稼ぐらしい。おまけに、混合気が薄いと排ガスの温度は下がるので、後処理として排ガス中のNOxを処理する触媒の能力も下がってしまう。そのときは当然にNOxをまき散らすことになる。

                            ◇◇◇

▼もともとヨーロッパの排ガス規制は温暖化対策の色が濃かった。NOxなどの毒性ガスの問題より、環境課税がかけられるCO2排出量とPMが主題となっていた。毒性ガスについては日米と比較すれば相当に緩く、欧州のそれが日米と同等レベルの規制になったのは2014年のユーロ6規制が始まってからだ。
 2007年にスタートしたEPAの「Tier2 Bin5」規制は以前のユーロ5規制下のクルマでは到底クリアできず、結果としてフォルクスワーゲンは今回の不正を行ったのだろう。

▼ところが、報道によるとヨーロッパでも同様の手口で不正を行っていたとの事。今回のユーロ6規制もクリアできなかったということなのだろうか。
 もし、そうだとしたら、技術的な面で明らかに後れを取っているという話で、「ブランドイメージの失墜」といったイメージ云々どころではない。

▼報道の中で、「規制値の40倍もNOxを排出するのはけしからん」のような論調もある。けしからんのはけしからんが、それよりも、あるまじき不正な手段で規制を逃れようとしたフォルクスワーゲンの姿勢、コンプライアンスについて責められるべきではないだろうか。社の将来を揺るがす重大なインシデントであることは間違いない。

▼世界経済への影響も懸念される。すでに、フォルクスワーゲンの株価は急降下し、ヨーロッパ全体の株価をも押し下げている。
 上半期で、トヨタを抜き、世界一の販売台数を誇る自動車メーカーとなったフォルクスワーゲンのスキャンダルの影響は計り知れない。

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▼この件でとばっちりを受けたとしか思えないのがマツダだ。最近、独自の技術によるディーゼルエンジン「SKYACTIV─D」で快走していたが、VWの不正でディーゼル車全体への信頼感が揺らぎ、株価は下落し、自社のエンジンは「法令順守の精神に基づき各国の規制に厳格に適合させており、違法なソフトウエアや機能は一切使用していない」との声明を出す羽目になってしまった。

▼マツダのSKYACTIV─Dは、ディーゼルエンジンとは思えないくらい低い圧縮比(=14、普通は16〜20)で、触媒などの後処理なしに燃費とNOx対策を両立させたもの。フォルクスワーゲンに限らず、ヨーロッパ各メーカーにとってユーロ6のクリアはかなりハードルが高く、特に小型車はコストを転嫁しにくく、小型ディーゼル車のラインアップを縮小するメーカーも出ている中、このジャンルはデミオの独壇場になるかもしれない。

▼ディーゼルエンジンのイメージは今回の事件で大きく傷ついたが、環境対策としてのポテンシャルが高いことには違いないと思う。是非マツダには頑張って欲しい。
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