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コラム

第九十七回 年末雑感
相談役 最上 恒夫
 いずこも書き入れ時の慌ただしい年の瀬だが、戦後70年を迎えた節目の年もまもなく閉じる。
 毎年この時期に最初に頭に浮かぶのが、異常気候や災害の記憶である。観測史上、軒並み最高気温を記録した猛暑、ついに動き出した火山噴火、連続台風と集中豪雨による洪水や土砂災害など、大きな出来事が相次いだ。
 他方、北極圏の解氷はじめ地球環境の変動による大干ばつや暴風雨、洪水などの発生頻度が世界各地で増している。素人考えでも、この地球はどこかおかしくなっているのではないか、と思うほどの異常さが続く。
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 「今後も右肩上がりの成長を求めるなら、(地球上の)『人間圏』の寿命はせいぜいあと100年だ」
このショッキングな警句の主は、地球惑星科学の松井孝典東京大名誉教授(「週間東洋経済」2月26日号)。
 以前、小欄で松井博士の所説を紹介したことがある。地球は「大気・海洋・大陸・生物圏・人間圏」が個別にあるのではなく、それらが有機的なつながりをもって成り立っている。その中で最も遅く出現した人間圏の拡大が地球システムに大きな影響を与えているという。
 20世紀初め15億人だった地球の人口が、現在は約73億人と100年余りで5倍弱に膨れ上ったのだから地球に負荷がかかるのは当然である。人類が豊かさを求めた結果、地球温暖化、資源・エネルギー、人口、食糧問題など、地球システム全体の調和が崩れ、文明の存立基盤を揺るがす深刻な課題が生じているという。
 「地球にやさしい」「環境にやさしい」生き方というのは地球に影響を及ぼさない存在になるということで、その「人間圏」は、せいぜい10億人くらいの人口が上限だという。「もはや地球は100年もたない」との警鐘には、英知を結集して真剣に向き合う必要があろう。
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 戦後70年。この辺で一度立ち止まり進むべき道を探って行こうという空気が、今年ほど盛り上がったことはかつて無かったのではないか。それには「人口減少と高齢化」社会の到来が、深さと広がりにおいて日本の将来を左右する難題であることを、国民全体がひしひしと感じとったからに他ならない。3点に絞ってみよう。
 第1に「経済成長」の軌道にしっかり乗せられるか。
 日本経済はこの2年、テコ入れ策が奏功し上り調子にあるが、20数年前のバブル崩壊の後遺症なのか、潜在能力を引き出すまで至らず、低成長のままである。
 一国経済の大きさを示す国内総生産(GDP)の伸び率を経済成長率といい、これは次の2つに分解される。
 (人口の増加率)+(一人当りGDPの増加率)
つまり経済成長は労働力と一人当り生産性の伸びによって決まるのだが、少子高齢化は働き手でかつ消費の担い手である生産年齢人口(15歳〜64歳)が減り成長の大きな制約になることを意味する。今後は高齢者や女性労働力の積極活用と、技術革新や時代に即した規制改革などによる一層の生産性向上がカギとなる。
 第2に「財政健全化」を先送りせずに取り組めるか。
 少子高齢化社会とは、少ない現役世代で多くの高齢者を支える仕組みのことである。10年後には団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者になるが、高齢者人口の増加は医療・介護・年金・その他福祉など社会保障費の増加を通じて無限に財政を圧迫していく。
 今や国と地方を合わせた借金残高は1千兆円を超し、GDPの二倍に達する危機的状態にある。財政破綻を回避するには、景気拡大による税収増という不確実性財源に頼らず、増え続ける社会保障費の給付と負担の見直しやムダを省くなどの歳出抑制策、また税制全般の改革による着実な財源確保で対処すべしとの意見が大勢だ。
 第3に「地方創生」を自力で克服できるか。
 人口減少と高齢化で急速に進行する「地方の崩壊」を危惧する声が全国的な広がりを見せている。昨年5月、「日本創生会議」(座長・増田寛也氏)が発表した衝撃的な警鐘でその動きが一気に加速した。出生率の低下と若年層の流出によって地方の人口が急減し、30年後には全国自治体の約半数にあたる896市町村が消滅する恐れがあり、その6割弱はさらに深刻になるという。
 どの地方も追い詰められている。今後、国に依存しない独自の生き残り策をかけた本気の競争が求められる。地方創生の成否は日本の将来を占う最大の難問である。
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 今秋、2年ぶりに上京する機会があった。以前は殆ど意識しなかったが、一極集中の都心の変貌ぶりは形容し難い驚きであった。溢れる人の群れと聳え立つ高層ビルに囲まれ、今浦島には別世界の眩さばかりであった。
 遡ること大震災から数か月後の駅ビル。電灯やエアコンを絞りきり、エスカレーター半稼働の薄暗く異臭漂う蒸し暑い中を行き交う人々の不安な表情を思い出す。
 年明け3月、福島原発事故からまる5年経つ。多年、首都圏への電力供給地の役割を担ってきた被災地では、今なお住民の多くが避難生活の辛い日々を送る。
 突然襲った電力危機に、節電一色に覆われた大消費地の灰色の面影は今毫もない。いぜん化石燃料依存から抜け出せない中では、否応なく、別世界のあの眩しさと被災地の厳しい現実とのギャップを感ずるばかりである。豊かな自然と食文化と住みやすさを誇る本来の福島を取り戻すために、復興への新たな決意が求められている。
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 お酒の世界も量から質へ、地方重視へと動いています。皆様、どうぞお体大切に希望に輝く新年をお迎え下さい。
 
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